車中泊や災害時にも使えるポータブル電源(サブバッテリーシステム)を自作してみた

バッテリーケースにバッテリーを収納したらバンドで固定して完成です

2022年3月31日

ディープサイクルバッテリーとバッテリーケース、インバータを使用し、ポータブル電源(サブバッテリーシステム)を自作してみました。自作といっても適当なバッテリーを買って専用のケースに入れるだけの簡単な作業なので市販のポータブル電源を買うよりもパワフルでおすすめです。

購入したバッテリーケースとディープサイクルバッテリー


市販のポータブル電源は非常時には頼りない

東日本大震災からかなりの年月が経ちましたが、先日も東北で震度6の大きな地震があり、関東在住のわたしの家でもかなりの時間揺れました(一部地域では停電もあったようです)。

 

停電になったときに役立つものと言うとポータブル電源です。ポータブル電源にはライトも付いていますし、USBポートも付いていますので携帯電話の充電、100Vのコンセントがあれば家庭用の簡単な機器も接続して使えるのでとても便利です。

ポータブル電源 INFONIX PG-421SP

ポータブル電源 INFONIX PG-421SPの入力

しばらく使っていなかった手持ちのポータブル電源(INFONIX / PG-421SP)をチェックしてみると、バッテリーが死んでいて充電出来なくなっていたので、バッテリーを買い換えようと思ったのですが、このポータブル電源は色々付いていて便利なのですが、バッテリーが小さく(12V20Ah)貧弱なのでおもちゃとまでは言いませんが、これを使い続けるのは止めて、より大きなバッテリーで組んでみてはどうだろう(自作)?と考えました。

 

自作とは、ポータブル電源で使う小さなバッテリーではなく、車で使うような大きなバッテリーで組むシステムのこと。

 

バッテリーの選び方

バッテリー

ポータブル電源で使うバッテリーはなんでも良いわけではなく、ディープサイクルバッテリーという種類のバッテリーを使用します。

 

ディープサイクルバッテリーとは

一般的な車で使用するバッテリーというのはスターターバッテリーと言い、エンジンをかけるための用途で使用するバッテリーです。

 

車内では色々な電気も使うじゃないか?と思うでしょうが、それはエンジンを掛けた状態で使うのを想定しているので、例えば車中泊で使用するような100%から完全放電に近くなるまで使うことを前提に作られていませんので、そのような使い方をしているとすぐにバッテリーが死んでしまいます。

 

一方、ディープサイクルバッテリーというのは過酷な繰り返し充放電に強く、完全放電に近い状態まで使用しても、充電すればまたすぐに使えるようになるバッテリーなので、非常時のバッテリーにはディープサイクルバッテリーが適しています。

※近年ではディープサイクルバッテリーに加え、小さくて容量も大きなリチウムイオンバッテリータイプも出てきましたがまだまだ高価です。

リチウムイオン・ポータブル電源

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さて、今までのポータブル電源で使われていたバッテリーは12V20Ahという小さなのバッテリーで、以下のサイトで計算すると。

 

インバーターやバッテリー初心者の方へ【電気製品が使える時間】_ 車中泊専門店 オンリースタイル

20Ahx12V=240Whになりますが、インバーターでDC12VをAC100Vに変換する際のロスは2割くらいあるとのことなので0.8を掛けると192Whになります。

※192Wh(ワットアワー)とは、192Wの電気を1時間使えるバッテリーですよということです。

 

車中泊等で使う機器を当てはめてみると、例えば15WのLED電球1個だと12.8時間点灯可能。22W/24Wのポータブル扇風機なら8.7時間/8時間、100wのノートパソコンなら1.9時間程度の使用が可能です。

 

これを長いと見るか短いと見るかは使う用途にもよりますが、車中泊や災害発生時に使用することを考えるとやや心もとないですよね。

12V20Ahのバッテリー

 

で、今回私が選んだバッテリーは、ACDelcoのM24MFというディープサイクルバッテリーで、大きさは車のバッテリーとほぼ同サイズで、容量を調べてみると80Ahだそうです。

ACDelco Voyagerマリン用バッテリー

ACDelco Voyagerマリン用バッテリー20時間率(Ah)

 

先程と同じ計算をすると、80Ahx12V=960Whの0.8を掛けると768Whになり、同じく15WのLED電球なら51時間、ポータブル扇風機(22W/24W)なら34時間/32時間、100Wのノートパソコンなら7.68時間とやはり段違いの性能です。

 

その他、車中泊や非常時に使いそうな家電製品をピックアップしてみますと、

 

炊飯器1.5合(山善 ミニ ライスクッカーYJE-M150):200W▶3.84時間
電気毛布(アイリスオーヤマEHB-1408):40W▶19時間

 

という計算になります(あくまでも目安ですが)。

※100Vの家電製品はインバーター性能によっては使えないものもあります▶正弦波のDC/ACインバーターの選び方とレビュー
※炊飯器など煮炊きするものは消費電力が大きく大容量バッテリーとはいえ使い続けるのは現実的ではないので非常用にカセットコンロ等も常備しておいたほうが良いと思います>カセットコンロ1本で強火の調理が約1時間行えます。

 

✅参考:正弦波インバーター/電化製品ごとの目安:

正弦波インバーター/電化製品ごとの使用目安

正弦波インバーター/電化製品ごとの目安~タイガン 楽天市場店~より

 

例えば仕事やレジャーの合間に車を止めて、車内でほんの数時間を過ごす程度なら市販の小さなポータブル電源でも問題ないでしょうが、車中泊をしたり、非常時の電源として考えると最低でもこれくらいの性能は欲しいところですよね。

 

✅ACDelco Voyagerマリン用バッテリーラインナップ:
ACDelco Voyagerマリン用バッテリーラインナップ

マリン用メンテナンスフリーバッテリー _ ACDelco Japanより~
▶参考:バッテリーのよくあるご質問海遊社

 

適当なバッテリーケースを用意

バッテリーが決まったら次はケースです。ケースはソフトケースやハードケースなど色々ありますが、もっと便利なものがあります。

それは、ケースにバッテリーターミナルや、シガーソケット、USBポートが付いているケースです。

自作のサブバッテリーシステム(ポータブル電源)に最適なケース

このケースの中にバッテリーを入れて接続すれば、自作のポータブル電源の完成です。

このバッテリーケースの内径は、実寸でおよそ幅36cm x 奥行き21cm x 高さ21cm(蓋の高さ含まず)で、この大きさ内のディープサイクルバッテリーであれば簡単に組み込み可能です。

購入したバッテリーケースのサイズ(幅)

購入したバッテリーケースのサイズ(奥行き)

購入したバッテリーケースのサイズ(深さ)

ポータブル電源は小さくて良いですが、専用のバッテリーしか使えません。しかしこのような大きなケースを使って組み込めば膨大なディープサイクルバッテリーの中から用途に応じた1台選べますので、いざというときには心強いです。

 

ということで、早速バッテリーを組み込んでみました。

 

ケースの蓋から出ている赤(+)と黒(-)を間違えないようにバッテリーに接続するだけでで完成です。

購入したバッテリーケースの蓋(裏側)

購入したバッテリーケースにディープサイクルバッテリーを入れてみた

蓋を被せ、付属のバンドを縛り付けて完了!

バッテリーケースにバッテリーを収納したらバンドで固定して完成です

バッテリーケースにバッテリーを収納したらバンドで固定して完成です

バッテリー交換が楽というのはものすごい利点ですね。

※上には取っ手も付いていますが、重量のあるバッテリーを組み込んだ状態で持つと破損してしまうので、持ち運びは取っ手ではなく下側のケース持ちましょう。

 

シガーソケットは12V/20Aが2つ、USBポートは5Vの1Aと2.1Aだそうです。

バッテリーケースに搭載されているシガーソケットx2とUSBポートx2

シガーソケットとUSBポート、電圧計は16Aのブレーカー内蔵のスイッチを入れることで使えるようになります

バッテリーケースに搭載のバッテリー電圧計

バッテリーケースに搭載のバッテリー電圧計

バッテリーターミナルはスイッチに関係なく常時通電していますが、無接続の状態ではネジ締めをきっちり行っていればネジ側、ナット側共に絶縁のゴムが付いていますので感電/ショートの心配はないと思います。

バッテリーケースに搭載のバッテリーターミナル

絶縁ゴムのついたバッテリーターミナル

ケースに入れたままバッテリーの充電が出来るのも良い点です👍

※手持ちのポータブル電源の説明書によると、12.7V~12.8Vは満充電、11.4V以下になったら要充電と書いてありました。

 

DC/ACインバータを接続(正弦波と擬似正弦波)

このケースにはシガーソケットはありますが、家庭用の機器を接続するための100Vのコンセントがありませんので、別途DC/ACインバーターを用意する必要があります。

 

とりあえず手持ちの安い擬似正弦波(MAX150W)のインバータをシガーソケット経由で繋ぎました。

自作のサブバッテリーシステム(ポータブル電源)に扇風機を繋いでみた

※シガーソケットは最大消費電力:120W(最大消費電流:10A)程度なので、例えば炊飯器や電気ポットなど消費電力が大きな100Vの機器は使うことが出来ません。

しかしこのバッテリーケースはバッテリーターミナルが直接出ているので、1000W以上の正弦波インバーターを直接繋ぐことも可能になっています(私も近いうちに買い換える予定)▶購入しました:正弦波のDC/ACインバーターの選び方とレビュー~果たして美味しいご飯は炊けるのか

シガーソケットで使えるDC/ACインバーター

正弦波のインバーター

ケースは密閉ではなく、充電時に発生する微量な水素ガスを逃がすための通気孔もあるので、その通気孔を利用して内部のバッテリー端子に直接繋ぐことも可能です。

バッテリーケースには充電中のガスを逃がす通気孔があります

Tsuneくん

✅ここ重要:
擬似正弦波とは、AC100Vの波形に似せて動作させるインバーターのため、医療機器などの精密機器やマイコン制御の電気製品(電気毛布など温度調整ができるもの)、扇風機などモーターを使った製品などは回転が遅いなど正常動作しなかったり、ノイズが乗ったりすることがあるようです(現在仮で接続しているセルスター HG-150/12Vは比較的マシですが、以前使っていたポータブル電源のINFONIX / PG-421SPは結構ひどかったです)。

そういった機器を使う予定のある方は、少し高価ですが正弦波のインバーターの購入をおすすめします。

 

正弦波インバーターはこちらで購入できます

正弦波のインバーター

 

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ディープサイクルバッテリーの充電器

ディープサイクルバッテリーの充電は一般的なスターターバッテリー用の充電器では使えない場合があるそうで、一緒にディープサイクルバッテリーにも対応の充電器も一緒に購入しました。

 

✅ACDelco 全自動バッテリー充電器 12V専用 AD-2002:

自作のサブバッテリーシステム(ポータブル電源)とバッテリー充電器ACDelc AD-2002

この充電器は普通の車用のスターターバッテリーはもちろん、ディープサイクルバッテリーや、より高性能なオプティマバッテリーへの充電も出来るとのこと。

ACDelc 全自動バッテリー充電器 12V専用 AD-2002の主な機能

 

サブバッテリーチャージャー(走行充電器)もあれば完璧

車をよく使う方は別途、サブバッテリーチャージャー(走行充電器)も購入しておくと、自宅だけでなく車の走行中にも充電できるので便利です。

走行充電器接続例

サブバッテリーチャージャー(走行充電器)とは、クルマに積まれている発電機(オルタネーター)を利用し、メインバッテリーへの充電の余剰分をサブバッテリーに回して充電しようという機器です。

 

車によく乗る方は、サブバッテリーチャージャー(走行充電器)で常に充電しておけば、突発的な災害時にも満充電の状態で使用することが出来ると思います。

参考:充電器の選び方|インバーター・充電器の専門店 ワンゲインより~

 

サブバッテリーチャージャー(走行充電器)おすすめ

おすすめの走行充電器(サブバッテリーチャージャー)

SBC-004は12V車専用、昇圧機能搭載のサブバッテリーチャージャー(走行充電器)。従来品の基本機能はそのままに出力電圧昇圧機能が加わりました。

 

✅SBC-004の特徴:

  • 充電制御車に対応:充電制御システムによりメインバッテリー電圧が低い時は自動で昇圧モードに切り替わり、最大10Aで充電可能
  • LED表示パターンを変更:3つのLEDで「通常モード」、「昇圧モード」、「アラート」の状態をパターンで表示

 

サブバッテリーチャージャー(走行充電器)はこちらで購入できます

おすすめの走行充電器(サブバッテリーチャージャー)

 

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まとめ

手持ちのポータブル電源用のバッテリーを交換するか、はたまたポータブル電源を新しいものに買い換えるかで迷ったのですが、結局は大きなバッテリーを使い自作するという選択をしました。

 

市販のポータブル電源は文字通りポータブルなサイズで、震災などの災害時にはやや心もとないですが、このような汎用サイズのバッテリーを使えば、容量もたっぷりあるのでおすすめです。

※バッテリー自体が20kgあるのでめっちゃ重くなったのがデメリットですけど(もはやポータブル電源ではない)😅

しかし箱はもう用意できているので、後は軽いものから重量はあるけどパワフルなものまで用途に応じてバッテリーを入れ替えて使えばよいのかなと思っています👍

 

近いうちにこれを持って車中泊にでも行きたいと思います((o(´∀`)o))ワクワク

自作のサブバッテリーシステム(ポータブル電源)にLED電球とポットを繋いだ写真

 

ディープサイクルバッテリーはこちらで購入できます

ACDelco Voyagerマリン用バッテリー

 

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お金に余裕のある方はディープサイクルバッテリーではなく、パワフルで急速充電にも対応のリチウムイオンバッテリーがおすすめですが同等の性能を持つものはまだまだ高価です。

ACDelco 全自動バッテリー充電器 12V専用 AD-2002はこちらで購入できます

ACDelc 全自動バッテリー充電器 12V専用 AD-2002

 

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※AD-2002はリチウムイオンバッテリーの充電には対応していません。

バッテリーボックスはこちらで購入できます

サブバッテリーシステム(ポータブル電源)用のバッテリーボックスはこちらで購入できます

 

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ポータブル電源はこちらで購入できます

自作はできないけどポータブル電源を使ってみたいという方はこちらで購入できます。

おすすめなのは小さくて容量も大きなリチウムイオン蓄電池を使用したモデルですが、まだまだ高価です。

ポータブル電源

 

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バッテリーに関して勉強したい方は以下のサイトがおすすめです。

インバーターやバッテリー初心者の方へ【電気の種類】 
インバーターやバッテリー初心者の方へ【インバーターとは】 
インバーターやバッテリー初心者の方へ【サブバッテリーとは】 

※バッテリーを扱う作業は危険を伴う場合がありますので注意して行ってください。